「おい!そこの男!!」
自分の天幕の外からそんな言葉が聞こえてきた。
言葉の意味を察すると、どこぞの男が陣に入ってきたのだろう。
盗人の類なら外に居る兵に任せてもいいだろう。そう思っていた。
「何者だ!!名を名乗れ!!」
「名前?」
どうやら盗人の類ではないようだ。少し外の様子が気になり愛刀の手入れをしながら耳を済ませていた。
「聞いてどうするんだ?」
挑発的な態度。
「貴様っ!!今すぐここを遠退け!!でなければ、切る!!」
「できるもんなら、やってみな?」
相手を馬鹿にしたような声が聞こえ、さすがにとめに入ったほうがよかろうと思い、据わっていた腰を上げ天幕の外へと出た。
「この・・・・馬鹿にするな!!!」
「そこまでだ!!この勝負、この夏候惇が預かる!!」
只でさえ、明日は大事な戦がある。
相手の力量はわからないが今は少しでも戦力が居る。下手に傷を負われたらこちらが困るのだ。
「か・夏候惇様!!」
驚いた声を上げ、兵士がこちらに顔を向ける。
その顔色は青ざめていた。
理由は聞くまでもないのだが、
「煩いぞ。いったい何なんだ?」
先ほど止め文句を言ったのだが、天幕の前で騒がれ煩く思った腹いせに意地悪く兵士へと問いただしてみた。
「す・すいませんでしたッ!!あの、この男が・・・・急に現れて・・・」
兵士の指が指し示す方へと顔を向ける。
「俺は別に何もしてないぜ?」
そこに居たのはこの雪空の下、薄着で子供が悪戯をしたような顔で笑っている一人の青年だった。
「・・・ここが、我が魏軍の陣と
知ってのことか?」
知っているだろうが、ひとまず聞いてみた。
「ああ。分かってたよ。なんせ、俺の天幕がすぐ隣だからな」
と、少しも悪びれた様子もなく林の奥を指し示した。
だが、其方のほうにあるのは呉軍の陣だ。
「まさか、お前は呉軍の者か?」
その言葉に兵士が一瞬で氷付いたのが分かった。
「ああ。呉軍、武将 甘興覇だ」
「甘・・・」
兵士の声が震え、今にも逃げ出さんばかりに足が震えていた。
それもそうだろう。
呉の甘寧といえば、鈴の甘寧と称されるほどの武将だ。
「・・・俺はこいつと少し話がしたい。向こうへ行っておけ」
振るえ、自我を失いかけそうな兵士へと聞こえる程度の小声で伝える。その言葉に我に返り、短い返事と共に逃げ出さんばかりに走っていった。
「悪かったな。煩くしてよ」
どこか笑みを含んだ声でいう甘 興覇。
「お前が、呉の甘寧か・・・」
「で、あんたが夏候惇」
楽しそうな声。新しい玩具を渡された幼子のような笑み。
「来い。酒ぐらいはくれてやる」
相手の返事を聞かずして先に、天幕へと。
何故か来ると直感があった。暫くし、天幕の布がすれる音と共に男が入ってきた。
「へぇ〜・・・俺のとこより広いじゃねーか」
何もかもが楽しいのか。そんな感じだ。
「それはお前の位の低さじゃないか?」
ワザと煽るような声をかける。
「ちげーだろうよ」
それだけだ。
だが、その視線は「言ってくれたな」と正面きって向かってきていた。
「まあ座って酒でも飲め」
明日の戦のためかなかなか寝付けなかったところだった
知ってのことか?」
知っているだろうが、ひとまず聞いてみた。
「ああ。分かってたよ。なんせ、俺の天幕がすぐ隣だからな」
と、少しも悪びれた様子もなく林の奥を指し示した。
だが、其方のほうにあるのは呉軍の陣だ。
「まさか、お前は呉軍の者か?」
その言葉に兵士が一瞬で氷付いたのが分かった。
「ああ。呉軍、武将 甘興覇だ」
「甘・・・」
兵士の声が震え、今にも逃げ出さんばかりに足が震えていた。
それもそうだろう。
呉の甘寧といえば、鈴の甘寧と称されるほどの武将だ。
「・・・俺はこいつと少し話がしたい。向こうへ行っておけ」
振るえ、自我を失いかけそうな兵士へと聞こえる程度の小声で伝える。その言葉に我に返り、短い返事と共に逃げ出さんばかりに走っていった。
「悪かったな。煩くしてよ」
どこか笑みを含んだ声でいう甘 興覇。
「お前が、呉の甘寧か・・・」
「で、あんたが夏候惇」
楽しそうな声。新しい玩具を渡された幼子のような笑み。
「来い。酒ぐらいはくれてやる」
相手の返事を聞かずして先に、天幕へと。
何故か来ると直感があった。暫くし、天幕の布がすれる音と共に男が入ってきた。
「へぇ〜・・・俺のとこより広いじゃねーか」
何もかもが楽しいのか。そんな感じだ。
「それはお前の位の低さじゃないか?」
ワザと煽るような声をかける。
「ちげーだろうよ」
それだけだ。
だが、その視線は「言ってくれたな」と正面きって向かってきていた。
「まあ座って酒でも飲め」
明日の戦のためかなかなか寝付けなかったところだった
ちょうどいい暇つぶしができた。