手紙。(続・恋文編)
さてさて、毎度おなじみここは蜀。
城の中では今日も今日とて冬眠から覚めた熊のようにうろうろする人が1人。
「陸孫めがぁ〜・・・!!」
どうやら、この間の告白タイムを思いっきり邪魔されたことに対しかなり怒っているようですね。
当たり前といえば当たり前ですが、執念深いですねぇ〜〜(しみじみ)
「あそこであの者が出てこなければ、今頃興覇は私の腕の中に・・・!!」
いや・・・、お断りされてるかもしれないだろうが・・・・・;
などとはまったく考えていないこの男。姓は趙、名は雲。字(あざな)は子龍。
蜀の武将である。
ご存知の方は多すぎると思いますが、この趙雲、この間呉の甘興覇に恋の告白をしようとした瞬間、見事なタイミングで邪魔をしてくれた同じく呉の武将の陸孫
に対しかなりの怒りを示しているのでぇす。
さて、今回は怒っているだけで終わりになるでしょうか・・・?
いえいえ、この趙雲は前回の失敗も踏まえなんとまぁ新しい策をもう考えているんです。
変に頭の回転が速い男ですねぇ〜。
「よし、早速興覇に手紙を『描く』としよう!!」
趙雲は、前回のことで甘寧が字を読むことが出来ないのだと悟り、なんと今回は絵を書いて相手に思いをぶつけようとするのでした。
「私の想いがこもったこの絵なら、興覇も私のことが好きになるはず!!」
画力は置いといて、はたしてそんなにうまくいくものでしょうか・・・・?
とか何とか言っている間に、筆に墨を湿らせなにやらサラサラと描き始めましたよ?
えーっと・・・・絵の中身は・・・・
「出来た!」
えッ!?もう!!?
「まず最初に、私が興覇を想い夜も眠れずに居る絵。二番目に、興覇のことを考え食事もノドを通らぬ絵。三番目に興覇のことが気になって稽古に気が入らない
絵。四番目に、興覇のことが好きで切なく想い拉がれている絵」
・・・・突っ込みはしないでおきましょう。うん。そうしましょう。
「よし!これなら興覇も私の思いを分ってくれるはず!!」
・・・・・突っ込みはなし。
「誰か!!弓の名手はいないか!?」
「暫くお待ちを」
使用人に弓の名手を呼びに行かせる趙雲。
「蜀でも一位を争うといわれるものを連れてまいりました。(一般兵でね)」
「ごくろう。そなたは下がってもよいぞ」
「御衣」
使用人が下がって、弓の名手と二人きり。
「趙武将。今回はいったい?」
「ああ、実はこの文を呉軍一!!と、いうほどの可愛い(え?)男武将(だんぶしょう)の部屋に矢文として届けて欲しいのだ」
「・・だ・・・・男武将・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」
弓兵はぽかーんと口をあけてしまいました。
当たり前ですね。可愛い女武将ならいざしれず、いきなり男!って言われるんですもの。
と言う前に、趙雲の目に甘寧はそういうふうに写っていたのですね。
恋は盲目。ぴったりです。
「ああ。そして、その返事と想われる手紙を再び私に渡して欲しいのだ」
「・・・はぁ・・・・」
あまり納得がいかない様子の弓兵。
「これは軍機密事項だ」
「軍の機密事項!!?」
この言葉に、弓兵は顔を上げ、目は驚きに見開かれました。
「うむ。だからそなたにも頑張ってもらいたい」
「は・はい!!頑張ってこの大役果たしてみせます!!」
・・・・・・・・・軍のじゃなくて、私有の機密でしょうが(ぺふ=3。←突っ込み)
ちなみに、何故今回は矢文なのかと言いと・・・
「ふふ。矢文なら陸孫も邪魔できまい」
つまり、矢文なら本人に直接届くので邪魔が絶対入らない。と、考えたようです。
はたして、そのとおりでしょうか・・・・・・・。
そしてそして、こちらもおなじみ呉の城内。
どこから見ていきましょうか・・・・・あ!あそこで愛刀を手に稽古をしているのは我らが甘寧こと甘興覇です!!(発見!)
っと、その後ろにこそこそとしているのは・・・・あ、陸孫こと陸伯言ですね。
って言いますか、ストーカー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?
しかも、城内で?
「あぁ・・・興覇、なんで貴方は興覇なんですか・・・?」
と、1人目を細めどこか憂いを含んだように言う陸孫。
「これが女性なら既成事実を起こしてしまえるのに」
ぶつぶつとつぶやきながら、甘寧さんの後ろをほう・・・とため息混じりに見るめる陸孫。
意外と黒いんですね。っていうか、黒いどころじゃありませんね。
やれやれ。
おや・・茂みの方がちょっと動いていますね。
どれどれ・・・スチャ。(双眼鏡装備)
ああ。あれはあの蜀の弓兵ではありませんか。
機密事項を遂行するためにどうやら城内へと忍び込んできたようです。
先ほどまで稽古をしてい甘寧さんも、稽古が終わったのか自分の部屋へ。
それを見届けた陸孫も自分の部屋へと戻っていきました。
「呉で一番可愛い、男武将・・・・・・」
弓兵はそうつぶやくとおもむろに弦を引き、矢文を放ちました。
タンッ!!
小気味よい音と共に、誰かの部屋の扉に突き刺さりました。
それを確認した弓兵は暫く身を潜めるため見つからなそうな場所へと移動してしまいました。
「・・・・?」
おや、矢文が刺さった扉から誰か出てきましたよ?
あ、矢文を発見。
さて、その人とは・・・・・
「こ・・・これは!!?」
手紙に描かれていた名前を見てなにやら感動しているようですね・・・?
「こ、これは興覇が私に当てて書いた手紙!?」
どうやら、手紙が刺さったのは陸孫の部屋のようですね。
でもなぜ、趙雲の手紙を甘寧さんからと見間違えるのでしょうか?
それはごくごく簡単なことで、実を言いますところ趙雲は・・・
『興覇の手に必ず届く以上の方法は、・・・やはり本人の名前を記すことだろうな・・・』
と、手紙に“甘 興覇”と書いていたのです。
きっと自分の名前ならば読めるだろうと思い。
・・・どうやら裏目に出てしまったようですね。
さて、手紙を手にあわてて自室へと引っ込んだ陸孫は、
「こ・・興覇からの手紙・・・・」
緊張のためか、とてつもないほどに手が震えています。
嬉しいのでしょうね。
何故同じ城内なのに矢文だったのかとか思わないほどに。(しみじみ)
「あ・開けて読む・・・・べきですよね・・・・・・?」
自問自答の陸孫。
「で、でも届いたそのときのままにしていたい!!」
・・・意外とマニアックな考え方ですね。
「でも、読まないと・・・。興覇がせっかく私のために頑張って書いてくれた手紙なのだから・・・・!」
と、震える手で手紙を開こうと、のりしろの所に小刀をあてようと・・・・・・
「だ、だめだ!!!やっぱ私には出来ない!!興覇の手紙にこんな鋭い凶器を当てるとは!!!」
それじゃ手紙は開けませんよ。
「どうしましょう・・・・・」
手紙を手にしたまま、悩む陸孫。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ、そうです。手紙はこのまま、内容は本人から直接聞けばいいのです♪」
これは名案と、1人嬉しそうに笑う陸孫。
「でも、やはり手紙には手紙ですよね」
と、おもむろに紙と筆を取り出し・・・・・・・・・・・
おや、こちらも『描く』ようですね。
どれどれ・・・・・・
「まず最初に、私が興覇を想い夜も眠れずに夜をすごす絵。二番目に、興覇のことを考え食事もノドを通らず憂いて居る絵。三番目に興覇のことが気になって大
事な会議にさえ気が入らない絵。四番目に、興覇のことが好きで好きで遠くから見守っている絵」
・・・・趙雲と同等ですね。
さて、描き終わった手紙を封し、そそくさと甘寧さんの部屋へ。
「興覇・・・・私も貴方と同じ思いですよ・・・・」
少々切なげに、されど嬉しそうに目を細め陸孫はその手紙を扉の隙間に。
そして、その頃の甘寧さんはと言いますと、
「あぁ〜腹減った〜・・・。どうも稽古が終わると昼とか関係なしに腹へっちまうんだよな〜・・・」
と、食堂で1人5人前のご飯をたべていましたとさ。
さて、それはさて置き。
手紙を扉に挟んだ陸孫は、
「答えは、自室で待っていましょう」
と、部屋へと戻っていきました。
おや?なにやらかさかさと再び茂みが動いていますね。
再び、スチャ。(双眼鏡装備)
おや、アレは先ほどまで隠れていた蜀の弓兵。
どうやら、『返事』を取りに来たようです。
ささっと、あまり物音を立てず甘寧さんの部屋までくると、おもむろに陸孫が残した手紙を懐にしまい、自分の軍へと引き上げていきました。
そして、蜀。
ここはまたまた趙雲の部屋。
「でかしたぞ!!」
「喜んでいただき、光栄に存じます」
弓兵が持ってきた手紙を手にし、めっさ浮かれている趙雲。
「よし、また用事を頼むかもしれないが、今は下がってくれ」
「御衣」
そして、
「・・・・興覇からの手紙・・・・・」
こちらも、なぜ陸孫からの手紙を甘寧さんからと思い違いをしているのかといいますと・・・・
もう、お気づきですよね?
陸孫もやはり、
『興覇の手に必ず届く方法は、・・・やはり本人の名前を記すことでしょうね・・・・・』
と、手紙に“甘 興覇”と書いたのです。
似たもの同士ですね。
「あぁ・・・・・開けてしまうのがもったいない・・・・・・」
すっごく似たもの同士でした。
「どうしよう・・・・」
寝床にごろんと横になり、手紙をしげしげと見て。
「興覇がせっかく書いてくれた手紙だ・・・・やはり読まなければ失礼に値する・・・・だが・・・」
おや、ふと物悲しげになりましたよ?
「だが、やはり自分のために書いてくれたこの手紙に刃物を当てるなどという卑劣な行いはできない・・・・・・」
でも、それじゃ手紙は見れませんよ〜〜(見ても陸孫のですが)。
「はぁ・・・どうすればいいのだろう・・・・・・」
顔を曇らせなにやら悩んでいる様子の趙雲。
「は!!そうだ!!」
おや?なにやらよい案が浮かんだのでしょうか?
「手紙はこのままで内容は本人から直接聞けばよいのだな!!!」
と、陸孫をまったく同一の意見を述べた趙雲。
「となれば、まずは再び二人で会える場所へと興覇を呼び出して・・・・・」
と、おもむろに起き上がり机へと向かい紙と筆を用意し、なにやら地図を描き始めたのでした。
おまけ。
こちらは戻って呉。
夜の闇を迎える頃、誰もが床に伏し安らかに眠っています。
その中で、2人ほど・・・
「はぁ・・・・興覇、貴方はいつ私の部屋の戸を叩いてくれるのですか・・・?」
と、へんに興奮してじっと寝床から部屋の戸を見ている人が1人。
そして・・・
「へっくしょ!!・・・ずび・・・・・。なんか嫌な寒気を感じるな・・・・・・・・」
と、鼻をすすりながら首まですっぽりと上掛けをかぶる人が1人。
いたとかいなかったとか。(笑)
おしまい。
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ひとまず、前回の続編・・・・と思い、書いてみました・・・ってか、ギャグじゃねぇーーー!!!ギャグだけど笑える要素がまったく
ねぇーーー!!
と、思った方、お許しください。すべてはこの馬鹿な狼の根もないほどの文章力がいけないのです・・・・(泣)
(だからって、猟銃なんかださないでねv)