空が青く、まさに蒼穹と言っていいほどの澄み渡った景色。
適当な大木を見つけ、その下の柔らかな木陰へと座り込む。
「ん〜・・・いい天気だ」
俺は膝元に置いていたパンが入った紙袋を引っ張り、パンを袋から取り出すと一緒に入っていたチーズを薄くナイフで切り、ちぎったパンに乗っけて口へと頬 張った。
頬張りながらふと空を見上げ、木陰の下にいながらも少し強めの日差しに目を細めた。

あの戦いからもう1年が過ぎた。

アンビエントを伴って現れたヒルツと、再び現れたプロイツェン。
そして、本当のデスザウラー。

まだ、覚えている。
あの戦いで見てきた色々なことを。
生きられるか死んでしまうか、まさに生と死が背中合わせのあのころ。

だからこそ、今ここでこうして生きているという実感が持てることがとても嬉しくて、誇り高いことに感じる。


そのことを違う人物にも言ったことがあったっけと、自嘲気味な笑みを零す。

その人物は、それが人間だ。変に思うことは一切無いと、優しく言ってくれていた。

「人間か・・・・」

男同士で恋愛などとは自然の摂理からかけ離れているといってもいい。
なんせ、子供は勿論のこと周りから見ても良い印象どころか、煙たがれるもしくは忌み嫌われるものだ。
そして、人間は摂理の中でしかその生涯を繋ぎとめて置けないような生き物。
なら、自分達はどうなのだろう・・・?
やはり、摂理から離れ、自分でも気づかないうちに人間とは程遠いものになってしまっているのだろうか?

そう考え、自然と笑みを零した。

そうならそれでもいい。
別に、何かに対して縛られて生きるのは自分の性に合わない。
それに、もし縛るものがいたとしてもあの人物だけだから。
なら、俺はその相手にだけ縛られて生きていくのも良いのではと思えてくる。
いや、そう思っていきたいのだ。

あいつに・・・
シュバルツだけに・・・・

この青い空を見上げて感じられる自分がまたおかしくて、

俺は一人で、

静かに笑い声を漏らした。