7人兄弟の長男瞳さん。
今日はその1日の様子を見てみましょう。
―― AM 5:30
PPP・・PPP・・・
「ん・・・・」
いつもの目覚ましの音。私の朝はその音から始まる。
PPP・・PPP・・・P ――
「ふわ・・・・さて、起きますか
いつもの時間、私はベッドから抜け出し止めた目覚ましを明日の朝のために再
びセットして、顔を洗いに洗面所へと行く。
「・・・・さて、今日は昨日作っておいた煮物と・・・」
その間に、今日これから作るお弁当のメニューのお浚い。
―― AM 5:45
「さて、それじゃ作りますか」
昨日の夜セットしておいたので、既に炊けているご飯を冷ますため、一先ず大
きなお皿にごはんを移し、お弁当の容器を用意する。
覚ましているご飯に高菜や鮭などを混ぜ、急遽メニューを替えてお握りにして
みたり。
それから、野菜などを取り出し、さっと炒め塩と胡椒でかるく味付けし、それ
を覚ましてからお弁当に詰めていく。煮物なども同様。
「おかずは・・・あと、何を入れましょうか・・・」
あらかじめ用意しておいたのと、先ほど作ったおかずを容器に詰めていくと、
一角スペースが余ってしまった。
「そういえば、昨日親戚からさくらんぼが届きましたっけ・・・」
朝のデザートにと、昨日の夜から冷蔵庫の中にしまっておいたさくらんぼを取
り出し、朝食べる分とは別にお弁当に詰めていく。
「・・これでよし」
ざっとみて大体5人〜8人前といったお弁当の量。それと他にも手作りのお菓
子をいつもの鞄に詰め込んで今日のお昼とおやつの準備を終
える。
―― AM 6:30
我が家から学校は歩いて10分〜15分といったとても近い場所にあり、比較
的皆さんのんびりと朝起きますね。
「充流さん、雅良君、そろそろ起きてください」
弟達6人の中でも運動部に所属し朝練がある2人を起こしに行く。
「はぁ〜い・・・」
「今行きます」
少し眠そうな声の6男充流と、もう既に起きていて直ぐに出てきた5男の雅
良。
「はい、二人とも顔を洗ってきてください。パンを焼いてご飯をよそっておき
ますから」
我が家の第1群達のためにトースト、スクランブルエッグ、トマトとマカロニ
のサラダと、余分に炊いておいたご飯とお味噌汁、卵焼きに
漬物、それからデザート用のさくらんぼを二人分。
「おはようございます」
「はい、おはようございます」
席についた二人にお茶を出しながら朝の挨拶。
「(トーストを頬張りながら)・・・ごくん。あ、そうだ瞳兄さん」
「?」
「今日、僕部活の練習で帰りが遅くなります」
「ああ、なるほど・・はい、解かりました。夕飯は食べますね?」
「そりゃ勿論」
「雅良君の方は?遅くなったりとかはありませんか?」
「俺の方は・・・・特に之といってありませんね。大会もまだまだ先ですし、
今日もいつもと同じぐらいに帰ってきますよ」
「はい、解かりました」
そんなこんなで第1群が登校。
「行ってきまーす」<
「行って来ます」
「はい、行ってらっしゃい。またお昼に」
そう交わし、第1群の洗い物を片付けてしまい、今度は2群を起こすために再
び2Fへと。
―― AM 7:30
「郁さん、利広、伸吾君、薫君。そろそろ起きてください」
「はーい・・」
「今行く」
「・・・・・」
「今行きまーす」
呼んだ4人中3人の声が聞こえてきました。
と、言う事は・・・・
「信吾君?朝ですよ?」
今度はノックをして再度呼びかける。
「・・・」
やはり何も聞こえませんね・・・・。
「伸吾君?開けますよ?」
そう、一先ず断って中に入ってみると、案の定予想通りに我が家の4男伸吾は
まだお休みしていました。
「・・・まったく・・・ほら、伸吾君、朝ですよ?」
寝入ってる姿に苦笑しながらも優しく声をかけ軽くゆすって起こす。
「ん〜・・・・・あと5分〜・・・・・・」
「そんな事言っていないで、ほら、起きてください?」
優しく抱き上げ、耳元で声をかける。(確信犯)
「んッ・・・瞳・・・兄・・・?」
耳元で喋られてピクリと体が震え、薄っすら開いた目で私を捕らえ呼んでく
る。
「はい。もう朝ですよ?」
「や〜・・・・まだ眠ぃ〜・・・・・」
ぬくもりを求めるように、抱き上げていた私の胸に顔をすり寄せ、再び眠よう
とする。
可愛いんですけれど、残念ながらこのまま寝かせても上げられないんですよ
ね。
「ほら、そんな可愛いこと言っていると・・・食べてしまいますよ?」
そう言うと、胸元に顔を埋める伸吾の顔を少し上に向かせ、そのまま額,鼻
先,頬と順に唇を落としていく。
「ンッ・・・・瞳兄・・・?」
「ほら、早く起きて・・・」
眠たそうな目でこちらを見る伸吾の耳に唇を寄せ、そのまま甘く噛み、舌を這
わす。
「ぁん・・・ッ!!ひっ瞳兄っ!?」
今度こそ覚醒した伸吾は慌てたように私の腕から抜け出すと噛んだ方の耳を両
手で押さえて、赤い顔で驚いたようにこちらを見てくる。
「貴方が何時までも起きないからですよ?」
にっこりと、優しく微笑んで。
「だ・だからって・・・だからって他にも方法があるでしょう///!!?」
恥ずかしく赤くなり、ごまかすために喚く私の可愛い弟。
「ほら、早く下に行かなければ。皆さんもう朝食を食べ始めていますよ?」
早くしないと朝食抜きだと時計を指差しながら。
「わ〜〜〜!!!」
釣られて時計を見て、慌てて顔を洗いに行く伸吾を見送って、一足先にリビン
グへと戻る。
「瞳兄!!ご飯!!」
と、その後から後は上着を着れば良しという格好で伸吾がついてきた。
「はいはい、ほら席について」
席へと促し、伸吾のためにご飯を装い、お味噌汁だし巻き卵、御ひたし、煮
物、漬物、あとデザート用にさくらんぼも置いてやる。
「さくらんぼだ!!」
素直に喜んでいる姿はやはり可愛いですね。
「今度は時間通りきちんと起きるんですよ?」
「ぅ・・・・・はぁ〜ぃ・・・・///」
出かけ際にそう、諭す。
「・・・////」
赤くなりながら靴を履いて先に出ていた皆さんと学校へ。
「伸吾、どうしたんだ?顔が真っ赤だぞ?」
と、郁さん。
「本当だ、伸兄さん、大丈夫ですか?」
と、薫くん。
「・・・・・瞳・・・・」
少し恐い声で、こちらを睨む利広。
「なんですか?」
余裕の態度で対応。
「・・・協定違反だぞ・・?伸吾に何をした・・・?」
「何って、起こして差し上げたんですよ?ちょっと起こす対価に可愛らしい耳
を一齧りさせていただきましたけど」
前を歩く3人には聞こえない程度の声。
「・・・立派な違反だぞ・・?」
「だから、起こして差し上げる対価です。別に違反ではありません」
「・・・・」
悔しそうにこちらを見る利広。楽しいですね。
「「瞳兄さん」」
前を歩いていた郁さんと、薫君が何時の間にやら両隣に来ていました。
「抜け駆けなんて卑怯ですよ?」
「そうですよ、僕なんか弟だから年下で、対等に見てもらえないんですから!」
「解かってますって」
これ以上言っても無理とわかったのでしょう、3人とも伸吾の方へと行きました。
ふふふ。でも、朝起こす係りは誰にも譲ったりはしませんよ?
―― AM 8:00
これからが私の仕事の時間です。
私はこの緑桐の保険医をしています。
体育の授業などで怪我をした生徒が1日4,5人は来ます。
そのほかにも職員としての雑用があります。
そんな中、2時間目が半ばに刺し当たったとき、
「瞳兄さん!!」
充流さんの切羽詰った声が廊下に響きました。
「どうしたんです!?」
慌てて廊下にでると、そこには充流さんと雅良君に支えられて痛みに苦悶の表
情を浮かべている伸吾がいた。
「伸吾!?どうしたんですか!!?」
「今日体育が野球で、僕に向かって飛んできた流れ弾から庇ってくれて、その
まま勢いで倒れて足を強く捻っちゃったみたいなんで
す!!」
「直ぐに赤く腫れ上がってきてしまって・・・」
「とにかく中へ」
自分の所為だと少しパニックに陥ってる充流さんと不安げな顔をしている雅良君を落ち着かせ、一先ず伸吾を抱き上げ保健室の中へと。
「ぅ〜・・・」
痛みのためか伸吾は先ほどから唸ってばかり。
「伸吾!伸吾!!ごめんね!!僕の所為で・・・」
「へ・・き・・・それより、充流こそ・・・大丈夫か?」
「伸吾・・・・うん、大丈夫だよ。伸吾が庇ってくれたから・・・」
「瞳兄さん、大丈夫なんですか、伸吾の足は・・・?」
「ふーん・・・・骨には行ってないみたいですね・・・・筋を痛めてはいるみ
たいですが・・・伸吾君、足、動かせますか?」
「なん・・とか・・・ッつ!!」
足首を動かそうとするとどうやら激痛が走るようで直ぐに痛そうに顔を歪めてしまう。
「一先ず今は応急処置として、氷で冷やして、湿布を張っておきましょう。それから、私は今から職員室に言って病院に行くことを伝えて
きます。二人とも、それまで伸吾君の傍にいてあげてください。」
「はい」
「解かりました」
職員室で担任に話を通して、一先ず信吾君を車で近くの知り合いの病院へと連れて行く。
そこで、X線をとり、適切な処置をしてもらい、完治するには2週間だといわれあまり酷くない様子に安堵の溜息をついた。
車の中。
「良かったですね、伸吾君。あまり大事には至らなかったみたいで」
「それはよかった。帰ったら充流さんや雅良君が心配しているでしょうから笑顔でいてあげてくださいね?」
「はい」
元気に頷くい様子に心から安堵の息をついた。
「あ、それから今日は一緒に寝ましょうねv」
「へ?」
「安心したとはいえ、今日の夜微熱が出るかもしれないと、病院の先生はおっしゃっていたでしょう?それに、夜湿布を張り替えてあげる
にはやはり傍にいた方が何かと便利ですし」
「・・でも、瞳兄は大丈夫なんですか・・・?」
「別に構いませんよ。明日は休日です。安心しなさい」
「はい」
何にも疑いを持たない伸吾君はちょっと危ないかもしれませんね。ふふふ。
「伸吾大丈夫だった!?」
「大丈夫か!?」
保健室に入るとすぐ、そこで落ち着かない様子で待っていたのでしょう、二人が慌てて伸吾君の下へ駆け寄ってきました。
「うん、大丈夫。レントゲン取ってもらったけど、筋も骨もちゃんとしてるって言われたよ」
「それで、どれくらいで治るんだ?」
「大体2週間と言われました」
「2週間も?」
「ええ・・・」
「だ・大丈夫だって!!俺は元気なんだから!!」
「伸吾君はこのまま保健室で寝ていてくださいね。
雅良くんに充流さんはもう3時間目を通り越して4時間目が始まっているでしょう?ほら、教室に戻って」
「瞳兄さん!!」
「でも!!」
「二人の気持ちもわかりますけど、伸吾君は少し休んだ方が良い。大丈夫、私が居ますから」
「・・・・」
「・・・解かりました」
不承不承ながら教室に2人が帰っていった。
「ッつ・・・!!」
「伸吾!?」
「だ・大丈夫です・・・」
もしかして・・・
「まさか貴方、雅良君や充流さんが居たから無理してたんじゃ・・・」
「痛みは・・・少しは治まってるんです、でも・・・まだやっぱ痛くて・・・」
「ほら、早くベッドへ・・・」
一先ず伸吾君を抱き上げ、ベッドまで運び足の様子を確かめると、やはり其処は先ほどよりも赤く腫れていました。
「こんなに・・・・今、氷を持ってきますね」
腫れ上がるのはしかたないけれど、不安が募っていく。
氷を宛て、布団をかけてやる。
「先に、家に帰りますか・・?」
そう言うと、伸吾はいやいやと首を横に振る。
「いや・・です。一人だと心細くなるから、少しでも瞳兄やみんなの傍に居たいんです・・・」
寂しそうに、そう言われ仕方がないと溜息を漏らす。
「解かりました、私もなるべく此処を空けないようにしますね」
「瞳兄!!」
嬉しそうに笑う笑顔がまた嬉しくて、私は笑みをこぼした。
―― PM 0:10
お昼休みのチャイムがなると同時に5人と思われる足音が廊下に響き始め、保健室の前でいっせいに止まりました
「「「「「伸吾(伸兄さん)!!」」」」」
「ん?」
伸吾君は先ほど少し寝て、どうやら一時的とはいえ痛みは粗方取れたようすでした。
お昼を食べています。
「さっき、充流と雅良に聞いたんだけど大丈夫なのか!?」
「郁さん、少し落ち着いてください」
「伸吾、もう動いて大丈夫なのか?」
「ほら、利広も」
「伸兄さん・・・よかった・・・・」
「どうしたんだよ・・・いったい?」
「伸吾が怪我をしたって教えて・・・」
「そうしたら、いきなり我先にの競争が始まってしまったんだ・・・」
原因を作ってしまった様子の2人が申し訳なさそうに誤る。
「ま、仕方ないでしょう。ほら、それよりお昼食べてください」
そうこうして、お昼休みも終わり5時間目の予鈴が鳴った。
「ほら、皆さん、授業に行った行った」
「伸吾次の休み時間に来るからね!!」
「お〜う」
と、充流さんと伸吾君。
皆同じ気持ちなのでしょうね。何か言いたそうにはしていましたが何も言わずに大人しく教室へと戻っていきました。
―― PM3:30
「さて、書類の整理はこれで終わりですね」
もう直ぐ6時間目の授業が終るという頃。
伸吾君はお昼をたらふく食べたためか、そのままいまだにお昼寝をしています。
私はまだ学園に残っていなければなりませんが、誰か家に帰るはずですから、伸吾君と一緒に帰ってもらいましょうか・・・・。
「伸吾君・・・起きてください・・」
優しく、呼ばわり起こす。(朝のごとく)
「ん・・・瞳兄ぃ・・・ふぁわ〜・・・・おはようございます」
眠たそうに目をこすりながらも起きた伸吾。
「はい。足はどうですか?まだ痛みますか?」
「え・・・あ、そうだった。・・・いえ、痛みは今はないです」
「それは良かった。今3時半になってもう直ぐ帰りのHRも終って皆さのうち、
誰か来ると思うのですが、一緒に帰りますか?私はまだ学園に残っていなければなりませんから」
「あ・・・そうでした・・・。はい、じゃぁ誰かと一緒に帰ります」
と、話していたら・・・
「伸吾、おれと一緒に帰ろーぜ」
「オレと帰ろう」
と、グッドタイミングなのかどうかは解かりませんが、郁さんと、利広がやってきました。
「郁兄に利兄」
「伸吾の荷物は持ってきてあるからな」
「郁兄、ありがとう」
「おうv」
「じゃぁ、郁さん利広、伸吾君をお願いしますね。帰ったら、着替えさせてき
ちんとベッドに寝かすこと。それからあまり足を使わせないこと。いくらあまり酷くないとはいえ、今日は微熱が出るかもしれませんので」
「解かった」
こうして、伸吾は二人と一緒に帰っていきました。
さて・・・今日の夕飯はどうしましょう・・・。
―― PM 5:00
さて、私の勤め時間も終りました。帰りに近くのスーパーによって今日の夕飯の買い物をしていきますか。
今日は伸吾君が怪我をして微熱が出るかもしれないので、出来るだけ消化にいいものが良いですね。
そうこう、考えながら校門の近くまで行くと、ちょうど部活が終ってこれから帰るのでしょう、雅良がいました。
「瞳兄さん、兄さんもこれから帰るんですか?」
「ええ。帰りがけにスーパーに寄りますが、一緒に来ますか?」
「・・・謹んで、荷物持ちの大役勤めさせていただきませう(しょう)」
と、改めた言いように私も、
「期待しておりませう(しょう)。頑張りなさいませな」
と返し、二人で顔を合わせたとき、笑いがこぼれました。
「それで、今日の夕飯は何にするんです?」
スーパーの中、この時間は夕飯の買出し時間よりちょっとずれているので比較的お店は空いてるといえるでしょう。
「伸吾君が微熱を出すかもしれないので、出来るだけ消化にいいものをと考えています」
「お粥、うどん、パン・・・・肉や魚はパスした方が良いですかね?」
「そうですね・・・・野菜も出来るだけ小さく切った方が良いですね。あ、大根を入れると良いかもしれませんね」
「なら・・・焼きうどんなんかどうです?」
「焼きうどんですか・・・そうですね、そうしましょうか。雅良君たっての希望ですし」
「べ・別にそうゆうわけでは・・・」
「そうゆうことにしておきましょうか」
「瞳兄さん!!」
弟というものは本当に楽しい。
―― PM 6:30
そうして、スーパーから帰り、夕食の準備をし始める。
「瞳、今日の夕飯はなんなんだ?」
「利広、今日は焼きうどんですよ。雅良君たっての希望です。消化にも良いですしね」
「雅良が?」
「違います!!俺はただ、消化にいいものをって・・・」
「くすくす。解かってますよ」
少々ふてくされたように、リビングのテーブルに頬杖をついている雅良。
「伸吾が夕飯のメニューを気にしていたぞ。2Fだと匂いがしないそうだ」
「なるほど。伸吾君には私が上に持っていきましょうかね・・・」
「あいつのことだから、皆と一緒に食べる!って喚くんじゃないんですか?」
「なら、オレがつれてくるとし―――」
「俺が運んできますね」
と、さっさと立ち上がって階段へ向かう雅良君。
「・・・雅良・・・」
「利広もまだまだですね」
不服そうに顔を歪めている利広に、出来あがった焼きうどんを運ばせた。
―― PM 7:00
「たっだいまーー!!」
部活も終え、丁度帰ってきた充流さんも加わって7人での夕食。
「伸吾、大丈夫?」
「充流、心配しすぎだぞ?そりゃー、全然痛くないって言ったら嘘だけど、俺はこの通り元気なんだから」
「でも・・・」
「伸吾君の言うとおりですよ、充流さん。あまり心配しすぎるのも伸吾君には辛いんですから」
「はぁーい・・・でも、痛かったらちゃんと言ってよ、伸吾?」
「解かってるって」
それから他愛もない学校での出来事、最近のニュースなど7人で話せば色々と出てくる。
「そういえば、もう直ぐ体育祭だけどお前ら何に出るか決まったか?」
「そういえば、そんな話もありましたっけ?」
と、充流さん。
「体育祭・・・そうですね〜・・・・まだ確定はしていませんけど、僕は走るのは苦手なので、出来るだけ走らないのがいいな〜・・・」
と、薫君。
「薫はなー・・・でも、お前力仕事もあんまりじゃないか?」
「酷いですよ、郁兄さん・・・そりゃー、僕は否力ですけど・・・利広兄さんは?」
「俺は・・・・・・伸吾は何に出る予定なんだ?」(冷や汗掻いてちょっと早口)
「何かはぐらかされた」
「まぁまぁ」
「俺・・・?俺は・・・ひとまず、第一希望はパン食い競争!後は借り物競争も楽しそうだな〜・・・」
「伸吾らしいな」
「あ〜、なんか俺のこと馬鹿にしてません利兄?」
「いや、そんなことはないぞ?」
「むぅ〜・・・・」
「体育祭かぁ〜・・・・僕は伸吾と一緒の競技がいいかな〜」
「俺は違うのが良いな」
「なんだよ雅良、俺と一緒じゃ嫌なのかよ?」
「お前と一緒だときっと何かしら巻き込まれそうだからな」
「なにおぉ!!」
「はい、ストップ。伸吾君、貴方は足を痛めているんですからね?雅良君も、面白いからって伸吾君をからかわない」
「瞳兄の方が酷い!!」
―― PM 9:00
「さて、そろそろ寝ますか・・・」
「え、もう?」
そういうと驚いたように時計を見る伸吾。
場所は私の部屋。丁度用があり尋ね来ていた伸吾君に私はそう切り出しました。
「まだ早い〜・・・まだ起きていたい〜〜・・瞳兄ぃ〜・・・」
と、少し下から見つめお願いと両手を合わせる。これを無意識でやってのけるのですから・・・うちの4男は本当に恐ろしいですね〜。
「ダメですよ。今日だってきちんと起きられなかったじゃありませんか。それとも、明日も今日のように起こしてほしいのですか?それな
ら、なにも止めませんが?」
「ぅ・・・///;;」
「瞳兄さん、今朝どうやって伸吾を起こしたの?」
「俺もぜひ知りたいですね」
いつのまにか充流さんと雅良君の二人が部屋の入り口にたたずんでいました。
「ノックもなしに人の部屋の戸を開けるのは失礼ですよ?」
「分かっていますが、事が事なので不躾な行動に出させてもらいました」
「で、瞳兄さん。伸吾をどうやって起こしたの?」
不機嫌な顔の雅良君と裏に絶対何かある極上の笑みを称えた充流さん。
「伸吾、どうやって起こされたんだ?」
「ぅ・・・ぁ・・・その・・・///」
「し〜んご」
「ぁ〜ぅ〜///」
「瞳兄さん、協定のことはお忘れではありませんね?」
「それは勿論」
「じゃあ、この伸吾の態度は何でなの?」
「恥ずかしがっているのでしょ?」
「じゃあその恥ずかしがる行動の理由をお聞かせください」
「朝,起こされたからでしょ」
「じゃあ、その起こし方は!?」
「伸吾君に聞いてください」
「「ッ〜〜〜〜〜〜!!!」」
煮えたぎる二人に余裕の笑み。
「「伸吾ッ!!」」
「っひ・・・・こ・恐い・・・」
「どうやって起こされたのさ!?」
「素直に答えるんだ!!」
「瞳兄ぃ〜〜〜〜ッ!!!」
「ほらほら、二人とも伸吾君は足に怪我をして今日はもうこれから寝るんですからもう部屋を出て行ってください」
そう言い、ほぼ無理やりに外に追い出した。
「ちょっ瞳兄さん!!」
「反則です!!!」
「はいはい。お休みなさい」
ぱたん。
扉を閉めると、二人は暫く文句を言っていましたが、諦めたようでそれぞれの部屋へと帰っていきました。
「ふ〜・・・・恐かった」
「じゃ、こんどこそ寝ましょうか」
「・・・はぁ〜い」
このまま起きていてもあの二人から問い詰められると分かっているらしく今度は素直に返事をする伸吾。
伸吾君をベッドに寝かせて、ベッドサイドにあるスタンドをつけ、部屋の電気を消す。
「明日は休日だからちょっと遠いところまでお買い物に行こうかと思うのですが、伸吾君も来ますか?」
「何の買い物?」
「そうですね・・・明日のご飯もありますし、他にも色々と」
「じゃあ行きます!」
ご飯と聞いて、目がきらきらと輝く我が家の4男。
「では、約束ですね」
こうして、私の1日は終っていくのでした。
『弟というのはは本当に楽しい』