「酒」









その日、大きな宴があり上等な酒がいくつも並べられており、それに目が行かないはずがない。
何度目かの酒を飲み干し、少しほてった身体を覚ますために、踊り場へと歩み出た。

そこに先客がいるとも知らずに。

「・・・甘寧か・・・」

「・・・周泰・・・」

・・・何故だろうか・・・周泰は自分がしようとすることを自分より先に行っている。何でもそうだ。

「どうした・・・・・・・・飲まぬのか?」
「・・・ちょっと熱くてよ・・・・」

踊り場からは、城下町が垣間見れた。街は夜の灯火がたてられ、ところどころ明るくなっている。

「・・・・・・・・・なぁ・・・・、周泰よぉ・・・・・」
「・・・?」
「・・・・あんた、賊に戻りてぇーって・・・思ったこと、あるか?」

酔いに任せ、自分が今までで心のどこかで思ったことを素直に聞いていた。

「・・・・あるのか・・?」

言葉短く返され、俺は小さく首を振った。

「・・・・・無いって・・・・言ったら嘘だけどよ・・・・・・でも、それ程強くも思ったことがねーんだよ・・・・・」
「・・・・」
「だからさ・・・同じ賊だったあんたは、どう思ってるのかなって・・・・・考えたんだ・・・・」
「・・・俺は・・・思うことさえ、思わなかった・・・・だが、心のどこかでは・・・・・・・・・似たようなことを・・・・考えていると思う・・・・・・・」
「そっか・・・・・・・」

なんとなく、嬉しいと思えた。“同じ様なことをこの男が考えている”ということが・・・・・。

「あ・・・あのよ・・・・・」
「?」
「そのー・・・なんだ・・・・」
酔った勢いにまかせ、今までで一番聞いてみたかったことを聞いてみることにした。
「周泰はよ・・・・その・・・・・どんな女が趣味なんだ・・・・?」
「・・・・?」

こちらを無表情に見てくる相手に慌てて説明を付け足す。

「い・いや、深い意味はねーんだけど・・・ほら、てめーはよく何考えてるのかわかんねーからよ・・・・・ちょっと、気になったって・・・いうか・・・・・」

本人を前にして『何を考えているか分からない』というのもどうだかと思うが、今は酔っているのだ。
酒の所為にすれば全て収まりがつく。

「・・・そうだな・・・・」

今は冬だと言うのに、答えを聞いている自分の顔が熱くなっているのが分かる。

「特には・・・ない・・・・」
「そう・・・なのか・・・?」
「いつも・・・向こうから来る・・・・それに、賊の頃も然程そういう事をは無かった・・・・・」

それを聞いて、自分の時はどうだったのだろうと思ったが・・・・何故だか、同じように思え自然と笑みがこぼれた。
暫く2人で黙ってぼんやりと見える城下町を見ていたが、俺はふと、今2人きりでいることに気がついた。
今は酔っている。全てを酒の所為にしても角は立たない。

「ならよ・・・・」
「?」
「なら・・・・俺、なんてどうだ?」
「・・・・・」
「一夜限り、手軽いぜ?」

酒の所為。角は立つことは無いだろうが・・・

「・・・言ってる意味・・・解ってるのか・・・・?」

少し驚いたように目を見開いていた。


分かっている・・・・だから・・・・・・


「ああ・・・酒は飲んでても自分で何を言っているか分からねー程、酔ってはねーよ」


傷つくのはきっと・・・・自分だ・・・・・


「分かった」


それだけだ。


「・・・来い」






宴を抜けて、周泰の部屋へと向かう。
そこは普段用事で訪れるのとは違うように思え、少なからず緊張していた自分に輪をかけさせた。

「・・・男を抱いた事は無い。・・・・勝手はしらん」
「安心しろよ、そう悪いもんでもねーからさ」

自分から羽織っていた上着を脱ぎ扉の傍に立っている周泰の横をすり抜け床に腰掛けた。

「・・・知っている風だな・・・・」
「あんたも元賊なら、入る前の餓鬼が大体どんなもんか想像つくだろ?」
「・・・・陰間・・・茶屋か・・・・・」
「分かってんじゃん」



・・・・餓鬼の頃なんていいことなど無かった。
物心付いた時にはもう、客の相手をさせられる。
相手をしなくとも後片付等をやらされる。

だから、逃げたかった・・・・あの場所から。
逃げられるなら何でも良かった。

だから、賊に入った。



「ほら、突っ立ってねーでこっち来いよ」
「・・・・・」

誘うように、俺は舌で唇を濡らし目を細める。
周泰はそれに誘われたのかは分からないが、どうやら覚悟を決めたようだ。
自分から着ていた寝着の帯を緩めた。



「・・・・・・・」
「ほら、横になれって」

周泰を寝床に寝かせ、その上に跨る様にして乗っかった。

「・・・・まずは、何をする?」
「そんなの、女と同じだ。接吻からだろう?」

そういうや否やいきなり首裏をつかまれ、早急に唇を合わされた。

「んぅ・・・・・・」

手馴れた様に、舌が口内へと入って来る。

「・・ふっ・・・・ぅん・・・・」

執拗に舌を絡め、吸われ、甘く噛まれると腰の辺りで熱がうねる。

「・・・んぁ・・・・っふ・・・・」

こちらも負けじと口付けを深くする。
すると自然と体の密着が深まり、相手の物も同じように熱くなっていることを感じた。


・・・・やはり・・・・だめだ・・・・・これ以上は自分で自分を苦しめる・・・・


そう、心の中で何かが呟いた。

「しゅ・・周泰・・・やっぱ・・・・」

『止めよう』と、体を離そうとしたら、

「止めぬぞ」

いきなり核心を突いていきた。

「ひッ!!」

「ここを・・・・こんなにしている」

周泰は、下履きの布の上から徐に陰部を握ってきたのだ。



傷つくのは目に見えている。

だが・・・そんなことでも、望んだのは自分なのだ。

なら、このまま酔いに任せて流されても・・・・いいのではないだろうか・・・・・・・・?





「ふ・・・ぅん・・・・・・」
「こんなにも・・・・我慢していたのだろう?」

そう言いながら、周泰は手を這わせていた下履きを払い、その下にある陰部へと直に触れてきた。

「別に・・・あんた・・・が、触らなくても・・・っふ・・・俺が・・・やって・・・やる・・・って・・・・ぁああ!!」

最後まで聞く気がないのか、直に触れられた陰部を更に扱くように手淫を施してくる。

「されるままでは、つまらぬ・・・」
「ん・・・・あぁ・・・っふぅ・・・」

別に意識して感じていたわけでは無かったのだが・・・・何故だか幼い頃よりも、いつもよりも体が敏感になった様な気がした。

「それに・・・こう、相手を翻弄するのは・・・・また楽しい」

徐々に、手淫の動きに合わせ粘着度のある音が耳をつく。

「早いな・・・」

笑みを含んだ声が、未だ上に乗っかっている自分の耳元で囁かれる。

「ッふ・・・ゥウッ・・・・・」

俺はこれ以上、声が漏れることが恥ずかしく、必死で唇を噛み、手で口を押さえた。

「声を抑えたら辛いぞ・・・・」

口に当てている手を、歯で軽く噛まれ剥がされる。その口で再び深い口付けを施してきた。




望んでいた事・・・・

なのに・・・・なんで、こんなにも悲しいのだろう?




「っんぅ・・・・はぅ・・・・・・」

口付けをする合間に声が漏れ、余計に羞恥が煽られる。

「先に出すか?」

返答も聞かず先走りで滑り、滑りのよくなった陰部を更に煽り立てるように扱いて来た。

「ひッぁああ!!」

度が過ぎる快感は、凶器にも似ているのではないだろうか?
腰が快感から逃れようと自然に揺れ動く。
腰に手を当てられしっかりと押さえられてしまい、それと同時に動かしている手で必要に先端を刺激してくる。

「やめ・・・・ッ!・・・しゅ・・・たい・・・・んぁあッ!!」
「・・・幼平だ・・・」
止めと言わんばかりに、亀頭の割れ目に強く爪を立てられる。

「ン・・・ックゥゥ!!」

腰を擦り付けるように振るえ、低く唸りながら精を放つ。青臭い臭気が辺りに漂った。

「濃いな・・・・・」

周泰は自らの手に放たれた物を何の躊躇もなく、舐めとっていく。

「な・・・なにやってんだよ!!!」

射精後の気だるさはあったのだが、それを上回ることをされたら話は別だ。

「何って・・・なめ・・・」
「みなまで言うんじゃねーよ!!」

ついつい恥ずかしさのため、相手の口を両手で塞いでしまった。
こんなやつだったか・・・否、こんなやつなのか!?

今まで考えていた自分の中の周泰というイメージと目の前にいる男がずれている気がしてきた。

「・・・苦しいぞ・・・」

塞がれていた手を引き剥がし息をついた。

「・・・てめーが・・・・・恥ずかしいこと・・・すっからだろうが・・・・///」
「だが、お前や俺の服で拭うのもどうかと思うが?」
「そっちのほうがマシにきまってんだろ!!?」

大体、本人の前でそんなことするかよ!!

「はぁ・・・・なんか、疲れた・・・・」

射精での疲れとまた違うことでの疲れが重なって、自分の体には急に倦怠感が襲ってきた。

「・・・なら、下になれ」
「へ?」

そう言うと急に相手を『見下ろす』体制から『見上げる』体制へと変わっていた。

「お、おい周泰!!」
「・・・・幼平だ・・・・」

有無を言わさぬその迫力に、言葉を飲み込んでしまった。

「字で呼べ・・・・・」
「・・よ・・・・幼・・・平・・・・・」

そう呼ぶとゆっくりと体が重ねられ・・・


悲しくなるだけ。


「興覇・・・・」

自然と唇が重なった。


つらくなるだけだ・・・・。







「よ・・・へぃ・・・・・ンッ!!・・・そこ・・・や・・・ぁあ!!」

股間のところで動いている頭に手を当て、自らも否定の言葉を言いながら快感を追っていた。

「本当か・・・?」

違うだろう?というように、陰茎への刺激がさらに強まった。

「ヤァアッ!!」

強すぎる刺激はやはり、凶器と同じだ。
危なすぎる。

「ヒィッ!!」

カリッと音が立つほどに、亀頭を噛まれ、深く口内に含まれ、陰茎は自分でも分かる程に先走りを出していた。

「ひぅ・・・んぁあ・・・・っくぅ・・・!!・・・も・・・もう・・・!!」

二度目の射精へと向かう瞬間、ふいに今まで陰茎を包んでいたねっとりとした感覚が無くなった。

「・・・・あ・・・・?」
「直ぐに達すると・・・詰まらぬだろう・・・?」

虚ろな視線で周泰を見上げ、腰が自然と揺れる。

「・・・・・俺が、してやるよ・・・・」

ぎりぎりで射精をはぐらかされると、何とも言えないだるさが下半身を支配する。
そのだるさを誤魔化しながら、何とか起き上がり、周泰の陰茎を口に含んだ。

「・・・・興覇・・・・」

そこは、少しも触れていないのに兆しを見せていた。

「・・・ん・・・ぐ・・・・・・」

上半身だけ肌蹴させた周泰は、やりやすいよう纏っていた全ての衣服を脱ぎ去った。

「・・はぁ・・・・・興覇・・・・」


口淫する自分の髪を、梳いてくる手が気持ちよくて・・・・


「・・・・っく・・・・・・・」



時折、色を含んだ声が漏れることが・・・・堪らずに嬉しかった・・・・・


いきり立ったその欲望に、同じ様に歯を立て竿を手と舌で扱く。
顎が辛く痺れて来るが、それでも攻める手は止めない。

「っは・・ぁ・・・・・・興・・・覇・・・・・・・・」

周泰の手に力が入り足の筋肉が痙攣する様に震えているのが分かった。
きっと絶頂が近いのだろう。
そう考えより深く、喉の奥までで咥え込み、亀頭を喉で押すように刺激した。

苦しくないわけはない。むしろ、息をすることさえ無理に近い状態だ。

「・・・・・・くぅう・・・ッ!」

そして、一気に膨張した陰茎は喉の奥へと射精した。

「・・・う゛・・・・ッ!!!」

喉の奥の方まで咥えていたため、上手く飲み込めず気管支に引っかかり、苦しい程咽る咳をした。

「・・・大丈夫か・・・・?」

「けほ・・・あぁ・・・・・なん・・・とか・・・・かっは・・・・・」

どうにか気管支に引っかかっていた精液も、喉を通り嚥下しきれた様で、ようやく息が正常に出来るようになった。

「・・・・・・・」

そんな中、ずっと無言で髪を梳いていたこの手が気持ちよかった。







「・・・・・・・」

息を整えるようにそのままの体制で深く息をしていたら、急に後ろの窄まりに何かが這うような感覚を感じ、体が振るえた。

「ここを、使うのだろう・・・?」

そう言って、周泰は先走りで床の布を汚していた俺の陰茎へと手を伸ばして来た。

「っはぁあ・・・・・・」

そこは今まで放っておかれ、尚且つ先ほどの口淫でより一層、刺激に敏感になった俺の陰茎は、敷き布が塗れそぼる程に先走りを垂らしていた。

「・・・咥えて、感じたか・・・・?」
「んぅ・・・・・ァッ・・・・」

思わず首を横に振った。きっと恥ずかしかったのだろう。

「・・・・・・・・これぐらいか」

先走りに濡れた手を離し、その手を再び窄まりへと運んだ。

「ッ!!」
「・・・・・どうした・・?」

羞恥心に掻き立てられ、つい、口走った。

「俺が、自分で・・・自分でやる!!」

・・・後で考えると余計恥ずかしいことを口走ったんだと思う。
いや、そうなのだろう・・・・・。



「・・・ん・・・・・・・見ん・・・なよ・・・・////」

周泰を前にして、獣のような体制から後ろに手を伸ばし、先走りと自分の唾液の滑りを借りて、自ら窄まりへと指を二本、挿入していた。

「何故?」
「ん・・なの・・・・・恥ずかしい・・・に決まって・・・だろ・・・・・」

「・・・・指が止まっている」

周泰は、徐に入れていた指に手を這わせ、

「ひああぁあッ!!!」

指の付け根が当たる音がする程に中へと押し込んだ。

「そのまま指を動かせ」

その言葉には何か不思議な力が掛けられていたのか、俺は中に入っていた指を、自分からばらばらに動かした。

「ひ・・・ぅ・・・・ん・・・・・ぁ・・・・・・」

俺は手の甲を押さえられたため、指をばらばらに動かすことしか出来ない状態にいた。
けれど、自分で動かすと制限がかかるようにある一定以上の刺激は与えない。
声が出ないよう・・・・自然とそれ以上の快感を与えなかった。

「・・・・・・・・声を出せ・・・その方が、楽だろう?」
「でき・・・・っか・・・・・っ・・・・・ンッ!」
「仕方ない・・・・・」

周泰は固定していた手を離離し、入っていた俺の指を引き抜き、自分の指をゆっくりと挿し込んできた。

「んぅ!!」

徐々に入ってくる感覚が、首を仰け反らせるほどの刺激へと変わるのは時間の問題だった。




「ッハ・・・あぁあッ!!

互いに抱き合う格好で、周泰の指が中で自由に蠢く。
中に入れてから、その指は最も感じる前立腺の場所を的確に見出し、そして覚え、頭の中が真っ白になる程の快感をもたらした。

それは余りにも辛く、歓喜へと誘った。

「も・・・・だめ・・・・・だ・・・・ひぁああ!!」
「俺も・・・・・・・限界だ」

そう言うと、今まで入っていた指を一気に引き抜き、その代わりに猛った熱いものが押し当てられた。

「・・・・・挿れるぞ」

無言で頷き、せがむ様に周泰の首に腕を回す。

もう、傷つくことを恐れるほどの余裕はない。
このまま繋がりたい。




そして、苦しいほどの圧迫感が下半身から湧き上がった。

「っぐ・・!!」
「息を吐いて、深く吸い込め・・・・・」

言われるまま、深く息をする。

徐々に緊張が解れていくその中を、ゆっくりと押し入ってくる感覚がなんとも言えず悲しかった。

「どうした・・・・?それほどつらいか?」

気がついたら、生理的ではない涙が一筋、頬を流れた。

「い・・や、ちげー・・・・・。そのまま挿れろ・・・・もっと、奥だ・・・」

苦しかったが、それを上回る程の快楽があることを体は覚えていた。

「・・・十分、慣らした・・・が・・・やはり・・・っく・・・・きついな・・・・・」

抱き合っている形のため、耳元で周泰の声が掠めた。

「よ・・・・平・・・・・・」
「・・・どうした?」
「顔・・みて・・ぇ・・・・・」

それだけ言うと、繋がったまま押し倒されるように二人で寝床に倒れる。

「っくぅ!!」

挿入された角度が変わり、引きつる様な痛みが走った。

「大丈夫か・・・・?」
「あぁ・・・・平・・・・き・・・だ・・・・・・。それよりも・・・動け・・・よ・・・・」

このまま快楽へと俺を落とせ。

「分かった」

小さく頷くと、いきなり挿入していた物をぎりぎりまで引き抜かれ、一気に奥まで貫かれた。

「ひッ・・あぁあああ!!!」

そうすると、先ほどいやというほど刺激され膨張した前立腺を凄まじい程押し上げ、触ってもいない肉茎からはひっきりなしに先走りが溢れ出た。

「いいのか・・・?」
「良イッ・・・んッぁあ・・・・・ぅあ・・・ァアッ!!」

中を擦られる度、前立腺の箇所を周泰は心得たように何度も繰り返し抉ってきた。

「ダ・・・ダメ・・・だ・・・・・!!!そん・・・な・・に・・ァアッ・・・・・すぐ・・に・・・いっちま・・・ヒアアア!!」

感じ過ぎるため肉壁は、擦り蠢く肉茎を止めようと容赦のない締め付けを施す。

「っく・・・!!・・・・そんなに・・締め付け・・・る・・な・・・・」
「し・・らね・・・あ・・・ッあぁああ!!」

締め付けにより動きは多少なりと弱くなったが、先ほどよりも的確に前立腺を押し上げ、意識が遠退きそうな程の快感に、体が戦慄いた。

「ヤ・・・ダメ!!・・・アァッ!!!・・・ひ・・・ぅアァッ・・・・くぅ、・・・んぅ!!!」

先ほどよりも一際大きな声が出て、更に深く飲み込もうと腰が揺れ動くのを止める事が出来ない。
もう、我慢はできない。

「よぅへ・・・・い・・・・!!――――ッ・・・・んぅ・・・ッぁあ!!」
「こう・・・・は・・・・っつ!!」


もう、声も抑えられない。

「アァッ!!んぁあ・・・ふッくぁああッ!!!も・・・ダメッ!!」

切羽詰った声が漏れ、より一層動きが速く、そしてより一層淫らになった。

「ヒァ・・・ッ・・・んぁあ!!っはぁ・・・っくぅん!!」
「興覇・・・ッ・・いいか・・・?」
「は・・やく・・・!!」

もう、抑える必要もない。絶頂がすぐ目の前に見えた。

「ッくぅ!!!」
「イクッ!!・・・ふぁ・・・・アァあああッ―――――・・・・・・・ッ!!!!!!」

今まで我慢させられたため射精の勢いはなく、その代わりダラダラと何時までも引き延ばされるような射精感に苛まれた。
熱く、ねっとりとした感触が、陰茎を伝い落ち、滴り落ち、その箇所濡らした。


「っはぁ・・・・・・はぁ・・・・・」
「・・・・・・・・」

息が浅く速いものから、徐々に深くゆっくりとしたものに変わるまで時間がかかった。

「・・・・・・大丈夫か・・・・?」
「・・・・・・・・あぁ・・・・・なんとか・・・・」

射精した瞬間に、軽く意識を手放していたらしく声を掛けられるまで意識がぼぉっとしていた。

「お前が言うよう・・・・・よかったぞ・・・・・・」

額に周泰の唇を感じ、恥ずかしく・・・そして悲しい気持ちが広がった。

「そ・・か・・・・・・それ・・・は、よか・・・った・・・・」

完全に整っていない息でそう答えると、未だ敏感になっている中から、ずるりと陰茎が引き抜かれる感触がし、首をすぼめた。

「・・・・もうしない・・・」

その様子を怯えと受け取ったのか、安心させるように周泰の胸の中に優しく抱きしめられた。

「疲れた・・・・・・」

そうされると、急に眠気が襲ってくる。
宴はもう、終わっているだろう・・・・・なんせ夜もすっかりと更けているのだから・・・・

「・・・このまま寝てしまえ・・・・・」
「・・・・・・」

小さく頷き、体から緊張をとりさり、全てを預け瞼を閉じた。
そうすることによって、今だけ・・・・今だけはこの男が自分の伴侶のように思えたのだった。









目が覚めたら、傷ついた自分が待っているのか・・・





それとも、少しでも喜びを感じた自分がいるのだろうか・・・・・





今は、ただ眠いばかり。












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長くなってしまいました;
すみません・・・・・・;
ひとまず、この話はまだ完結していない「頤」の後の話し・・・・ってことになっています(おうぃ);

がんばって書いた泰甘だったのですが・・・・・・やたらなが〜く・・・・・なってしまいました・・・・;
ってか、なんか甘寧さん恋する乙女ってかんじになっちゃったよ・・・・・;
ここまで読んでくださった方々、どうもありがとうございました。



















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