オスカー



なんか知らんうちにジュリアス様とオリヴィエが仲良くなっていた。

いや、仲がいいというのはちょっと言い過ぎかもしれない。

この間、聖地に行きジュリアス様宛ての書類を受け取りそれを届けた時,

「オリヴィエ!?」

「なによ・・アタシがここにいちゃいけないって言うの」

ジュリアス様の館の係りにジュリアス様は子馬を見に行かれたと聞いて舎に向かっていると 途中の策の前でジュリアス様とオリヴィエが酒盛りをしていた。

いつもなら全然見ない組み合わせに俺は正直言って驚いた。

この二人が一緒にいるところは見たことがない。ましてや二人きりで酒を飲み交わすなど。

俺が驚いていると、

「オスカー、あんたも一緒に飲む?」

と、オリヴィエに誘われた。

あいつが掲げていたのは値段の高い、結構いい洋酒。

もちろん俺が酒を拒むわけはない。この書類を渡してしまえば、急だといえども職務は終わ るのだから。

持っていた書類をジュリアス様へと渡そうと、視線を向けたとき、訝しげにこちらを見てい るジュリアス様の視線にぶつかった。

「ジュリアス様・・あの、何か・・?」

何か粗相をしたのだろうかと、不安になり聞いてみたが、

「なんでもない」

と、短く返されてしまった。それ以上聞くわけにもいかず、俺は書類を渡し、オリヴィエか らグラスに注がれた酒を受け取った。

そうやって、しばらく三人で昔話をしていたとたん、

「私はもうそろそろ自室に戻ることにする。お前達はまだ飲んでいるがいい」

そう言って,ジュリアス様はそのまま帰ってしまわれた。

それを俺と一緒に唖然と見ていたオリヴィエへと、何かあったのかと聞いてみたが、

「なんにもないわよ。失礼ね」

と、失礼極まりないといわんばかりにきつく言い返されてしまった。

「あ〜あ〜・・・・」

気が抜けた声。

どうしたと聞いても、無言で睨んでくるだけ。

そのままそいつは、芝生に横になってしまい、これ以上聞くことは無理だろうと悟り、仕方 ないので、空になったグラスに何度目かの酒を注ぎ、口をつけた。

「どうでもいいけど、それ(・・)、ワタシが持ってき た酒なんだけど?」

俺はてっきりジュリアス様が用意した酒かと思い、少し遠慮しながら飲んでいたのだが、ど うやら、この酒はオリヴィエが用意したものらしかった。

俺はいつもの調子で、

「お前のか・・・・それなら余計な気づかいは無用でじゃんじゃん飲めるな♪」

と、言ってやったのだが、オリヴィエはいきなり俺が持っていた酒ビンを奪いやがった。ま だ、半分は残っていたっていうのに。

「あっ!!何しやがる!!

「これはもって帰って自分で飲むことにするよ」

と、そのままさっさと自邸へと行っちまいやがった。

酒を取られたこともそうだが、なぜだか、一緒に飲んでいても極楽鳥の意識がこっちに向い ていなかったことに俺はうすうすと気がついていた。

自分でも気がつかないうちに、酒より、後者のことに対して舌打ちをしていた。

さっきまであいつが寝っころがっていたところに、なんとなく乱暴に己の体を横たえた。

そうすると、さっきまでオリヴィエに甘えていた子馬が俺の髪を遊ぶようにはんできた。

「おい・・・人の髪で遊ぶもんじゃないぜ?」

相手はそれを分かっているのかいないのか・・・いや、わかってはないだろうな。俺の髪を はむのをやめようとはしなかった。

そんな子馬に俺は髪を自由に遊ばせ、グラスに残っていた酒に少しずつ口をつけていた。

ふと、その子馬の目と視線があい、同じ青い目のさっきまでここにいたやつのことを頭に思 い浮かべた。

・・・・どうかしてる。女性の顔じゃなくてあんなやつの顔が頭に浮かぶなんて・・・。

それと同時に最初に立ち去った不機嫌だったジュリアス様のことも頭の隅っこに浮かんだ が、どうも極楽鳥の方が気にかけてしまった・・・・・。

子馬は俺の髪で遊ぶのも飽きたのか、自分で馬舎へともどっていった。

残された俺。

頭にはまだ苛立っていたあいつの顔がちらつく。

今日はもう帰って強い酒でも飲んでさっさと寝てしまおう。

そう思い、おもむろに立ち上がり、ふと、足元に視線を向けた。其処には、あいつがいつも していたイヤリングが落ちていた。

なんとなくそれを拾い上げ、ポケットに突っ込むと、俺は自分の館へと向かって歩き出し た。



今日はある意味では散々だったのかもしれない。

館へ帰る道のりにそう考えがふと頭に浮かんだ。

急にジュリアス様へ渡す書類ができ残業手当も出ないのに残業を強いられ、しかもジュリア ス様に何故だかいぶかしがられ。

極楽鳥の機嫌も悪く、そのせいで良い酒にも逃げられた。

にしても、本当に今日は何があったのだろうか・・・?

極楽鳥も理由は分からないといっていたが、ジュリアス様は間違いなく不機嫌だった。

それに、極楽鳥・・オリヴィエはジュリアス様が去った後、とてもつまらなさそうにしてい た。

気がつくと、俺は先ほどのイヤリングを入れたポケットに手を当てていた。

・・・一番おかしいのは自分かもしれないな。

なんとなく不燃焼な感情を抱え、俺は館への帰路を早足に歩いていった。




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確か、ジュリアス×オリヴィエが好きだったんだよな・・・・
で、邪魔者君にオスカーを入れて。三つ巴。
これが当時の狼のベストCPでしたね。
ジュリアスのサクリアが無くなってオリヴィエは泣く泣くオスカーと・・・って言うのもたしか考えていたような・・・・・・